HITACHI第二回ACROVA GMMユーザー会での特別講演 Special lecture at HITACHI 2nd ACROVA GMM User Association

当社LINX GROUPの研究開発部門を指導している雫二公雄先生が11月15日に行われた『HITACHI第二回ACROVA GMMユーザー会』で特別講演をしました。

講演会は「古くて新しい技術は魅力的~GMMとゲルマニウム~」というテーマで行われました。(2019年11月15日、日立グループ(株)日立産業制御ソリューションズ東京本社)

今回は、30年近く技術開発に携わった経験、GMMと私、ファボラボの魅力、ゲルマニウムと私、ゲルマニウム(無機と有機)技術の現状と動向、JGRA学会の取り組みなどを中心に技術開発のパラダイムシフトと魅力に関して講演しました。

人類の技術発展史を考察すると、人類社会は果てしない歳月をかけてきた古くて新しい技術の宝庫でもあります。いままで技術の勢力図を一変させるインパクトのある新しい技術の誕生の多くは、古い技術からパラダイムシフトすることで生まれました。その中核となる技術はメインフレーム時代にすでに確立されたものでありますが、それに気付かなかった場合が多くありました。

私たちが「古い技術」だと異口同音に唱えながら放棄したものにも、時代をリードする革新的なポイントが隠されていたのかもしれません。周囲から「古い技術」とみられたものでも、アプローチの方法を変えたり、最新の技術と融合させたり、あるいはまったく違う用途にしたりすることで、巨大市場へとつながる可能性があると思います。

私どもの多くの技術は古くから存在しているものであり、その革新に注目してきた研究者も多くいました。そして、彼らが革新した技術により巨大市場が生まれると期待された時期もしばしばありました。しかし、多くの場合はいずれも期待外れで終わったのです。そのバックグラウンドには、利用可能な古い技術に対する再定義や新範囲が限られていたことや、未来市場につながるアプローチ方法、投入コストの制限などの諸問題がありました。結果的には、その技術で提供できる価値に対し、市場から生まれる利益が見合っていなかったのです。

21世紀の情報社会に突入してから、多くの技術開発はその様子から大きく変わろうとしています。様々な技術がオープンソースにつながり、同時に共有できる連携開発ネットワークに参画することで、必要な技術ブロックを迅速かつ低コストに入手できるようになったのです。これに加わって高性能デバイスが次々と登場することで、技術の活用範囲がより複眼的に拡大しました。

人類が蓄積してきた膨大な古い技術への関心が高まるなかで、いまこそ、古い技術へのパラダイムシフトが誕生させる新市場の形を模索し、地球環境にやさしく、継続的に発展可能な製品やサービスを作り上げることが期待されています。

                                     2019年11月15日 雫二公雄